自分の口臭がまったく気にならない人はいないと思います。しかし、わざわざ市販の口臭チェッカーを使用して、こまめに口臭をチェックしている人はどれだけいるでしょうか?おそらく、ほとんどの人は「気にはしているけどそこまでは・・・」な状態ではないでしょうか?口を両手で囲い、息を吐いて臭いをチェック。正直それでは自身の口臭を正確に認識する事は出来ません。人間の鼻は同じ臭いを嗅ぎ続ければ慣れてしまうもの。常にもっとも鼻の近い位置で臭いを発し続けている口臭に関しては、自分の鼻ほど信用できないものはないのです。
口臭と唾液の関係性
そんな自分では気付きにくい口臭ですが、ひとつ目安になるものがあります。それは唾液。唾液やよだれが臭いと思っている人も多いのではないでしょうか?実はもともと唾液はほとんど臭いの無い無臭の液体です。この無臭の液体に口腔内の雑菌やゴミカスが混じり、あの何とも言えない悪臭を発生させます。手の甲をペロリと舐めて少し乾かした後に臭いを嗅いでみて下さい。「くさっ!」となったあなたは要注意。べとついた臭い唾液と口臭はセットのようなもの。あなたの口臭もなかなかの臭いを放ち続けているかもしれません。
唾液が臭くなる原因
さて、このもともとは無臭の液体が臭くなってしまう原因はなんなのでしょうか?唾液には水分だけでなく、酵素や菌も含まれています。口の中が乾いた状態では口腔内の菌はとても繁殖しやすく、結果的に口臭も唾液も臭くなります。では、口の中が乾く時ってどんな時でしょうか?
緊張すると唾液は臭くなる
極度の緊張状態で口がカラカラになった、そんな経験はありませんか?そう、唾液が臭くなる精神状態、それは緊張時。唾液は交感神経と副交感神経の作用で、分泌量が大きく変わります。そして、緊張すればするほどネバネバした唾液が分泌されるのです。一方、リラックスした状態では、サラサラした無臭の唾液が多く分泌されます。
私の口臭、臭ってないかな?そんな不安を常に抱えていると、それはいわゆるストレスとなり不安を抱えた緊張状態が続きます。そんな精神状態により唾液の分泌量は減少し、雑菌の繁殖量も増加。結果的に口臭や唾液から悪臭を発する事に・・・。口臭をまったく気にしないのもどうかと思いますが、逆に気にしすぎる事が口臭を発生させてしまう。なかなか皮肉なものです。
リラックスした状態の唾液は無臭
とにかくリラックスした状態を維持できるよう心がけましょう。好きな音楽を聴きながらアロマを焚いてみたり、趣味に没頭してみたり。ただそれだけで唾液や口臭を改善出来る可能性があるのです。もちろん毎日の正しい歯磨きで口の中を綺麗に維持する事は大前提。その上でリラックスした健康な精神状態を手に入れる事。これが何よりの口臭改善、唾液改善につながるのです。
唾液を作っている成分
唾液の99.5%は水分です。そして、唾液の成分には無機成分と有機成分があります。ナトリウム、カリウム、炭酸水素、無機リン、カルシウムなどが無機成分。そして、酵素、免疫物質、抗菌物質、ムチンというタンパク質が有機成分。このような成分により、唾液は弱アルカリ性となり、唾液が多く分泌されると口の中の細菌の繁殖を抑止する事が出来るのです。
唾液の役割
唾液の分泌量が多いと、口腔内の雑菌繁殖を抑える事が出来る。それは前述の通りです。そして、唾液には他にもとても素晴らしい効果、役割があります。
口の中の潤い
当然ですが、唾液により口の中に十分な水分が保持されている事で、喋りやすくなり食事もスムーズに摂取する事が出来ます。
胃の消化を促進
唾液に含まれる消化酵素によって、胃の消化を助ける役割があります。唾液分泌量が減少し消化機能が減退すると、胃の中の食べ残しや老廃物がガス化し血液に溶け込み、全身の毛穴や口から悪臭を放出する事になります。
口の中の清掃
十分な唾液が口の中を満たしている事で、食事中の食べかすや歯垢を洗い流してくれます。喉がカラカラ、口の中も乾いた状態でパサパサしたものを食べる事を想像してみて下さい。その後の口の中には食べかすだらけになると思いませんか?唾液が十分に分泌されている事はそれだけ大切な事なのです。
口の中のPH調節
唾液により、口の中のPHを中性に保つ事が出来ます。口の中を中性に維持する事で、虫歯になる事を防ぐ事が出来ます。
サラサラ唾液とネバネバ唾液
サラサラ唾液
サラサラの唾液は副交感神経の作用が大きく影響します。副交感神経とは、休息・体の修復をしている時、リラックスしている時に作用するので、体や心がリラックスしている状態だと、サラサラした無臭の唾液が分泌されます。
ネバネバ唾液
一方、粘ついた唾液は交感神経の作用が影響します。交感神経は体や脳が活動している時、ストレス・緊張している時に作用しますので、過度の緊張時やストレスを抱えた状態だと、ネバネバした悪臭を持つ唾液が分泌されます。
サラサラ無臭唾液を多く分泌させる為に
ではサラサラした無臭の唾液をより多く分泌させるにはどうしたら良いのでしょうか?
咀嚼回数を増やす
ひとつは、食事の際の咀嚼回数、つまり良く噛んで食べる事を心がけて下さい。ただでさえ現代の日本人の食事は柔らかいものが増え、昔に比べて咀嚼回数は減少しています。現代人が一度の食事で噛む回数は平均で600回程度と言われており、昔はおよそ1400回。つまり、今の若者は通常の倍以上の咀嚼回数を意識して食事する必要があります。
リラックス状態を維持
前述の通り、唾液分泌量は精神状態も大きく影響します。常にリラックスできるような環境を整え、ストレスを貯めないように努力する事も大切でしょう。適度にストレスを解消し、悩みなどであまり思い詰めない、考え込まないようにしましょう。
上記の対応により、ネバネバ唾液をサラサラに改善する事が出来ます。さらに水分を十分に、そしてこまめに摂取したり、積極的に舌を動かすように意識したり、野菜、果物、昆布類などのアルカリ食品を多く摂る事も効果的と言われています。
まとめ
という事で、ネバネバした悪臭唾液と口臭の関連性、そしてサラサラした無臭唾液への改善方法についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?とはいえこのストレス社会に生きる現代人の大半は、粘ついた唾液を多く分泌している事でしょう。口臭が気になる。口臭を直したい。そんな思いや悩みを持つ事は至極健全な事ですが、その悩みにあまりに固執してしまうと、それ自体がストレスになり、口臭も唾液も臭くなってしまいます。口腔内の衛生状態を清潔に保つ事。そこさえきちんとやっている自負があるのなら、それ以上は特に考えない。そういう意味では「能天気」くらいの方が良いのかもしれません。