肥満、デブ、メタボ・・・。男性にとっても女性にとっても恐ろしい言葉です。自分にはあまり関係ないなんて思っている方でも、年齢を重ねるにつれ体の代謝機能は減退し、いつのまにかお腹はぽっこりと膨らみ、脇腹には見たこともないような肉の段々がついてきます。
この肥満やメタボは、健康に悪い影響を与えるだけにとどまらず、実は口臭の発生にも深く関係している事をご存知でしょうか?今回はそんな太っている方の体臭や口臭の原因、そして改善方法についてまとめてみました。
肥満とは?
そもそも「肥満」の定義を知っていますか?肥満度の判定には、BMIという国際標準指標が使われます。男女とも、標準とされるBMIは22.0。ちなみにこのBMIは、成人にのみ使われる指標であり、子供、未成年にはカウプ指数やローレル指数という別の指標が用いられます。
BMI18.5以下は低体重。18.5~25.0を普通体重。そして、BMI25.0以上の場合が肥満と判定され、その肥満度は4つの段階に分けられます。25.0~30.0は肥満(1度)。30.0~35.0を肥満(2度)。35.0~40.0は肥満(3度)、そして40.0以上が肥満(4度)となります。
また、内臓脂肪型肥満の人が糖尿病・高血圧・脂質代謝異常のうちの2つ以上を併発している場合を、メタボリックシンドロームと呼びます。
日本人の肥満率
ところで、比較的痩せ型体質イメージの強い日本人ですが、どのくらいの人が肥満になっているのでしょうか?厚生労働省から発表された「国民健康・栄養調査報告」肥満者の割合(対人口比)のデータをご覧ください。
全体的には男性の方が肥満率は高く、およそ3割の男性が肥満、女性は2割弱となっています。また、年齢的にはやはり40代男性がもっとも肥満率が高く、女性は40代を機に肥満率が上昇していきます。
男性は40代からだんだん減少しているのに比べ、女性の肥満率は年齢とともに上昇していくのも特徴のひとつでしょう。これは、若い頃にはあまり体重を意識していなかった男性と、逆に年齢とともに体重への意識が薄れていく女性との差と言えるかもしれません。
父親にはこうなって欲しくない!
もうひとつ興味深いデータがあります。こちらは一般社団法人「モテパパLAB.」によって、小学生900人を対象におこなわれた「父親にはこうなって欲しくないもの」に関する調査結果です。
上位3つはどれも僅差ではありますが、1位は「デブ」で64.1%。2位は「口臭」62.3%。そして3位に「ハゲ」61.9%という結果に。3位の「ハゲ」は致し方ない部分もありますが、1位2位の「デブ」「口臭」に関しては、ある意味自業自得の部分もあるのではないでしょうか。
子供とはいえ、やはり「デブ」で「口臭」の父親というのはかなりの抵抗があるようです。そして、悲しい事に「デブ」になる原因と「口臭」の原因は密接にリンクしているのです。
肥満の原因
肥満になる人の多くに共通する原因は大きくわけて4つあります。あなたの周りのおデブな人々の生活を思い出してみて下さい。思い当たる事がいくつもあるのではないでしょうか?
食べ過ぎ
まず、当然ながらもっとも分かりやすい原因は「食べ過ぎ」です。摂取したエネルギーが消費エネルギーよりも多ければ、その余ったエネルギーは脂肪として体内に蓄積されます。
これが日常的に続けば、蓄積された脂肪はどんどん増えていき、結果的に肥満体型になります。
食べ方
また、肥満の人は食べ方にも特徴があり、多くの人に早食いの傾向があります。一般的に人は食事をしている中で脳の満腹中枢によって満腹感を感じ、食事を終わらせます。
この満腹中枢から満腹感を感じるまでにはある程度の時間がかかります。早食いの人は満腹感を感じる前に多くの食物を摂取してしまう事で、消費エネルギー以上の過剰なエネルギーを体内に取り込み、脂肪として蓄積される量が増えてしまいます。
食事の内容
そして、当然食事の内容も原因のひとつです。野菜ばかりを食べている人にあまり太っている人は見かけないでしょう。やはり、肥満体型の人は肉や油ものを好んで食べる傾向があります。
肉や油ものはご存知の通り非常にカロリー(エネルギー量)が高く、仮に野菜などと同じ分量を摂取していても、高カロリーな分多くのエネルギーを取り込んでいる事になります。結果的に脂肪に変わるエネルギー量が増えてしまい肥満になります。
運動不足
摂取エネルギーとともに肥満に影響を与えるのが、消費エネルギーです。どれだけ多くのエネルギーを摂取しても、その分のエネルギーをきちんと消費出来ていれば、脂肪に変わるエネルギーは残りません。
逆も然り、摂取エネルギーが少なくても、消費エネルギーがそれ以上に少なければ脂肪は増えます。日常的にエネルギーを消費する運動を怠っていれば、当然脂肪は増え肥満体型になります。
肥満と口臭の関係
ここまで、肥満に関する情報、原因などを紹介してきましたが、前述の通り、この肥満の原因の多くは同時に口臭の原因にもなります。
早食いが口臭の原因に
例えば早食い。食事をするスピードが速ければ咀嚼回数も減ります。あまり噛まずに食事する事で口の中の食べ残しやカスが多くなります。この食べかすは口腔内の細菌を増殖させ、口臭を発生させる大きな原因となります。
また、噛む回数が少ない人は必然的に唾液分泌量も少なくなります。唾液には非常に高い殺菌作用・抗菌作用があります。この唾液分泌量の減少により、やはり口の中の細菌が増殖し口臭発生へと繋がってしまいます。
さらに、早食いによって過剰な食物を摂取すると胃の中に未消化の残留物が残ります。この残留物は胃の中で腐敗しガスを発生させ、血液に溶け全身を巡ります。そして、呼気や汗としてその悪臭を体外に排出する事になります。
胃腸環境の悪化が口臭の原因に
また、肥満の人は胃腸に問題を抱えている人が多いです。前述の通り、肥満の人は肉や油ものを好んで食べます。このような食べ物は腸の中の悪玉菌を増やしてしまいます。
腸内に悪玉菌が増えると腸内環境は悪化し、悪玉菌からガスが発生。腸の中に充満したガスは血液に溶け込み全身を巡り、体臭や口臭の発生へと繋がります。
また、肥満の人は食物繊維の多い野菜などの摂取が足りない事で便秘にもなりやすく、腸の中に溜まった便からも同様にガスが発生します。便秘による口臭は臭いもきつく、特に気を付けなければならない口臭要因のひとつです。
肥満による口臭を改善するには?
このように、肥満と口臭の原因には共通項がいくつもあり、肥満体型になってしまうような生活をしていると必然的に口臭もきつくなります。しかし逆に考えると、肥満を解消、つまり上記の原因を排除する事は同時に口臭の改善にもつながると言えるでしょう。
ここで、改めて肥満による口臭を改善する方法について解説してみたいと思います。
食事の食べ方を見直す
まずは食事の食べ方から。噛む回数が増えると唾液分泌が促進され、唾液による抗菌・殺菌作用により口臭を抑制する事が出来ます。その為には、出来るだけ咀嚼回数を増やす事を心がけましょう。
また、早食いによる過剰摂取を防ぐためにも、早食いをやめてゆっくりと食事をする事が大切です。咀嚼回数と満腹中枢は連動していますので、噛む回数を増やしゆっくりと食事を取る事は、口臭予防・肥満予防にも非常に効果的と言えるでしょう。
食事の内容を見直す
お次は食事の内容です。お肉や油ものなどばかりを食べるのではなく、消化を促進するような野菜や果物、腸の健康を改善してくれる乳酸菌などを積極的に取るようにしましょう。
胃腸の機能がきちんと働く状態を維持する事で、胃腸の残留物は減り、脂肪に変わるエネルギーを抑制する事、さらに口臭に繋がる腐敗ガスの発生お抑える事が出来ます。
運動の習慣を付ける
最後はやはり運動です。適度な運動は体内のエネルギー・カロリーを消費してくれます。また、体の様々な機能をきちんと働かせる効果もあります。
脂肪も口臭も、その原因の多くは体内に余ったエネルギーや残留物です。定期的な運動によってそれを消費できる生活習慣を癖付けられれば、肥満や口臭を未然に防ぐ事ができると同時に、健康的な体、生活を手に入れられます。
まとめ
という事で、肥満と口臭の関係、そして原因・改善方法についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?
満員電車で太った人が近くにいると、それだけで気が滅入ってしまうのは決して体積だけの問題ではないでしょう。その巨体から発せられる体臭・口臭も大いに関係しているのはないでしょうか?
肥満×口臭のダブルパンチは、人間関係する壊しかねないほど強烈なインパクトです。まずは自分の肥満原因をきちんと分析し、自分にあった改善方法にトライしてみましょう。
ちなみに、ダイエットによって口臭が発生してしまうケースもありますので、あくまでも無理のない範囲で肥満・口臭を健康的に改善するよう心がけましょう。